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こころぐ vol.30

2026.07.01
食べることで「心」をいたわる夏のはちみつ薬膳

季節ごとの体調管理に役立つ「はちみつ薬膳」。
はちみつ薬膳とは、東洋医学の陰陽五行説に基づいた、はちみつ料理研究家 河村千影さんオリジナルの薬膳 です。今回は「心(しん)」をいたわる夏のはちみつ薬膳をご紹介します。

暑さが厳しくなるこの時期。汗をたくさんかくと、体の余分な熱を逃すだけでなく血液中の水分やミネラル も失われるため、血液が流れにくくなり、全身に血液を運ぶ役割のある「心」に負担がかかるといわれてい ます。「心」が乱れると、不整脈、動悸、息切れ、不眠を引き起こしたり、夏バテによって食欲不振になっ たりします。また、意識や思考とも深く関わりがあるので「心」が調子を崩すと不眠の症状や不安感が強く なることも。

このような夏の不調には「赤い食材や苦い食材を食べると良い」と河村さん。「トマトやゴーヤなど、旬の 食材は水分を多く含み、体を冷やす性質があるので上手に取り入れましょう。ただし、冷たいものの摂り過 ぎは胃腸を冷やし、消化機能を低下させるので、体を温めるニンニクや生姜、シソなどを添えてバランスを 整える工夫を」とのこと。旬の食材を食べることは、理にかなった健康法なのですね。

[五味の作用と食材を知ろう]

薬膳には「五行」という考え方があり、自然界に存在する現象を「木・火・土・金・水」の5つに分け、これらが均衡を保つことで、あらゆるものの調和が取れていると考えられています。
五行にはそれぞれに属する「五味(酸・苦・甘・辛・鹹)」と「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」があり、五味が五臓を補うことで、心身を整える効果があるといわれています。また、春夏秋冬に長夏を加えた「五季」があり、季節とも深い関わりがあります。

●酸味→春
主な作用は、止血、鎮痛、防腐などの収斂(しゅうれん)、筋肉の引き締め、汗や尿が出過ぎるのを防ぐなど。代表的な食材に、梅、酢、トマト、レモン、リンゴ、梨などがある。

●苦味→夏
主な作用は、燥湿、清熱、便通を促す瀉下(しゃげ)、体内の余分なものを排出するなど。主な食材に、苦瓜、緑茶、菊花などがある。

●甘味→長夏
主な作用は、緊張や痛みの緩和、体力や抵抗力を高める補益作用、滋養強壮、止痛など。主な食材に、玄米、はちみつ、大豆、かぼちゃ、にんじん、だいこん、れんこんがある。

●辛味→秋
主な作用は、発散作用、気血の流れを良くするなど。主な食材に、ネギ、シソ、しょうが、にんにく、とうがらし、ニラなどがある。

●鹹味(かんみ)→冬
塩辛い味。主な作用は、しこりや腫瘍を柔らかくする軟堅作用、便を柔らかくする潤下作用など。主な食材に、海苔、昆布、わかめ、カニ、エビなどがある。

[心の働きを助けるはちみつ薬膳]

トマトのスムージー
見た目が鮮やかで、手軽に栄養チャージができるトマトのスムージー。
体の熱を鎮め、水分補給をしてくれるトマト。スーパーなどで一年中買うことができますが、トマトの旬は5月下旬~8月。旬の夏こそ摂りたい食材です。

●材料(約300ml)

トマト・・・1個
リンゴ(赤)・・・1/2個
ヨーグルト(無糖)・・・100g
レモン果汁・・・小さじ2
はちみつ(カラスザンショウ)・・・大さじ1

●下準備
1.トマトのヘタを取ってざく切りにし、フリーザーバッグに入れて冷凍庫で凍らせる。
2.リンゴの芯を取ってサイコロ状に切る。

●作り方

1.ヨーグルト、レモン果汁、はちみつ、リンゴの順に容器に入れ、ハンドブレンダーで撹拌する。

2.さらにトマトを加え、なめらかになるまで撹拌する。

3.お好みではちみつを加え、よく混ぜて完成。

トマトのスムージーに使われたはちみつは、山口県産の烏山椒はちみつ(廣田養蜂場)。ミカン科の烏山椒は静岡県から南の地域が産地で、その花蜜は夏の貴重な蜜源植物です。
山椒のようなスパイシーな風味があり、甘くてほろ苦い大人の味が楽しめます。甘さのなかにすっきりしたスパイス感が共存している独特の味わいは、はちみつレモンにもぴったりです。

[はちみつレモンが常備調味料に!]

はちみつレモンを常備していて調味料として活用しているという河村さん。はちみつレモンといえば、水やお湯で割ってレモネードにしたり、炭酸水で割ってレモンスカッシュにしたり、ドリンクとして楽しむイメージですが、じつはおかずからデザートまで使える万能調味料なのだといいます。「レモンを切るのはちょっと面倒くさい……」という人は、市販のレモン果汁とはちみつで作るのがおすすめです。
そんな常備しておけば頼りになるはちみつレモンの使い方をご紹介します。

ミニトマトをはちみつレモンに漬けるだけで、デザート感覚で食べられるトマトのマリネに。トマトの湯むきは手間がかかりますが、「ミニトマトを一度凍らせてから水に浸けると、皮に亀裂が入ってツルンと簡単にむくことができます。はちみつレモンの味もしっかり染み込みますよ」とのこと。

にんにくと塩で味つけしたひよこ豆のペーストに、はちみつレモンの甘さを加えたフムス。「はちみつレモンの甘さを加えることで、誰でも食べやすくしました」と河村さん。フムスは栄養価が高く、低GI なので、パンに塗るバターやマヨネーズをフムスに置き換えるとヘルシーで食べ応えも十分です。

はちみつに含まれる酵素やレモンに含まれるクエン酸が肉を柔らかくし、臭みを消してくれます。煮込み料理も、はちみつレモンを常備していれば栄養がプラスできるうえに時短にも! これも、はちみつレモンが万能といわれる理由のひとつです。

見た目にも涼しげなはちみつレモンピール寒天。なめらかな舌触りの寒天のなかに、つぶつぶのレモンピールがアクセントになっています。はちみつレモンのさわやかな風味が、食後のお口直しにもぴったりです。

ご紹介したはちみつレモンレシピは『はちみつレモンレシピ(主婦と生活社)』に掲載されています。「この本では手に入りやすいアカシアはちみつを使っていますが、どんなはちみつでも作れます。ただし蕎麦や栗などのはちみつは、クセが強すぎるので避けたほうが無難です」。すっきりさせたり、コクを出したり、合わせるはちみつによって違う味わいが楽しめそうですね。

(さいごに)
病院に行くほどではないけれど、なんだか体の調子が悪いと感じたら、はちみつ薬膳を取り入れてみませんか? 私たちの体は食べたものでできていて、美味しく楽しく食べることも薬膳の考え方のひとつ。薬膳の知恵を取り入れ、不調に負けない元気な体と心を手に入れましょう。


プロフィール

河村千影さん
一般社団法人日本はちみつマイスター協会代表理事、はちみつ料理研究家、和漢薬膳師。はちみつマイスターとして、ワークショップや薬膳料理教室、メディア取材などに参加し、はちみつの魅力を広めている。各 県特産のはちみつを使った料理のレシピ開発も手掛け、2025 年4 月に『はちみつレモンレシピ(主婦と生活社)』を出版。2026 年7 月24 日~26 日、東京・銀座にて国内最大級のはちみつ尽くしのイベント「はちみつフェスタ2026」を開催する。入場無料。詳しくはホームページをチェック!
https://83m.info

撮影:竹下アキコ

取材・文:鞍田恵子